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特集

  • 2016/05/31

全日本ジムカーナ選手権第3戦 N2クラスでRX-7小俣が逃げ切り優勝

全国のマツダ車ファンの皆様、そしてジムカーナファンの皆様こんにちは。RX-7とジムカーナが3度の飯より好きな男、小俣洋平です。前回のエビスからレポートをさせて頂いておりますが、MZRacingさんに特集扱いで記事を掲載して頂き俄然やる気が上昇している所です。今回は5/22-23に開催された第3戦名阪スポーツランドでの熱い戦いの様子をレポートしていきたいと思います。

2016 JAF全日本ジムカーナ選手権第3戦の舞台、名阪スポーツランドは三重県亀山市と奈良県天理市とを繋ぐ名阪国道沿いにある近畿エリアのジムカーナの聖地、古くから全日本ジムカーナの舞台となってきた伝統のあるミニサーキットです。亀山ICを降り名阪国道に入るとそれまでの東名阪自動車道とは雰囲気が変わります。歴史好きな私は伊賀の里の雰囲気を味わえて凄く好きな名阪国道の趣なのですが、目的地の名阪スポーツランドは難攻不略の感のある難所です。そびえたつ縁石(名阪名物の外周路のS字の縁石は昨年から少し低くなりましたが)、バンピーな路面、バンクと逆バンクが混在し、そしてカート、ドリフト、ジムカーナという使用用途から路面のグリップ感が一様ではなく非常にトリッキーで癖が強い印象のコースです。低速コーナーの回答性とハイスピードコーナーでの縁石の走破性、路面変化に柔軟い対応する車両セットアップが求められます。

マツダ車からの参加はPN1クラスに4台のロードスター(片岡一司、亀山伸一、小林キュウテン、斉藤邦夫)、PN3クラスに難波眞のアクセラ、N2クラスに5台のRX7(上本昌彦、安部洋一、石井和則、喜友名禎、小俣洋平)、SA2クラスに8台のRX7(山田寛宣、鰐部光二、野本栄次、葛西悠治、上野健司、大橋政哉、小澤忠司、奥浩明)、SCクラスにRX7 の藤井雅裕、併設クラスのB2にRX7の内田敦と合計20台のマツダ車がエントリーしました。

決勝のコースは前半がギャラリースタンド前の名阪名物フリーターンとサイドブレーキを使用する区間が設けられた低速テクニカルセクション、中盤はきつめのRの低速コーナーが連続するセクション(通称Zコーナーを含む)、後半は外周路を使用したハイスピードセクションという設定となり、ドライバーにとっては息つく暇がなくとてもチャレンジングなコースでした。完熟歩行を行った感想は「一瞬たりとも気を抜けない!」でした。

<PN1クラス>
パワーで勝るFFのスイフトvsコーナリング性能で勝るFRのロードスターの対決の構図となってきた感のあるPN1クラス、今回は前回エビスでロードスターを初優勝に導いた稲木は欠場、変わって広島から片岡がロードスターで新たに参戦してきました。ところが、今回はそのロードスターをトラブルが襲いました。

名阪名物フリーターンは通常のパイロン回りを一周するサイドターンと異なり、パイロンという障害物がありません(360度スピンさせればOK)。その為、車をよりダイナミックにスピンさせる俗にいうケンブロックターンが速いと考えられていますが、このターンはリヤタイヤのスライド量が通常のサイドターンより多くなります。通常のサイドターンではDSCをカットしておけばDSCが介入してくる事はないようなのですが、スライド量の多いケンブロックターンではDSCをカットしていてもDSCが介入してきてしまい大きなタイムロスを招いてしまう様です。改造範囲の狭い新型車両のPNクラスは電子制御の介入と上手に付き合っていくことが求められており、車両セットアップとドライビングがより難しい様です。

そのような状況のなか初参戦の片岡が4位に入賞(2位~4位までが0.1秒差の超接戦!)、ベテラン斉藤、小林はトラブルに苦しみ12位と14位となりました。今回は厳しい状況だったにも関わらず初参戦の片岡がしっかり4位に食い込んでもおり、今後もロードスターがこのクラスで活躍してくれると思います。

<PN3クラス>
86、BRZが最も多く、プジョー208、シビックターボが参戦してきて混戦で激戦のクラスです。そこにただ一人アクセラで参戦している難波はテクニカルセクションが多い今回のコースに苦戦し22位。車両特性とコースとの相性が合えば十分上位入賞が狙えると思いますので今後の活躍に期待したいです。

<N2クラス>
何としても初のシリーズチャンピオンを獲りたい私小俣洋平は最大のライバルNSX西森選手に開幕2連勝をされて厳しいスタートとなりました。そしてここ名阪では西森選手以外のライバル上本、安部のRX-7、エキシージの梅村選手も非常に速く厳しい戦いを予想していました。

今回名阪スポーツランドでは、私がお世話になっているダンロップのSタイヤO3Gの新コンパウンドM5がデビューしました。新しいタイヤは抜群のグリップを発揮しているものの、まだデータ不足でコースとの相性の問題もあり、セットアップとドライビングがなかなか定まらず金曜日はトップタイムだったものの土曜日は両ヒート共にペナルティーを取られタイムを残せずまた内容もあまり良くなく、非常に苦しい局面を迎えました。「うーん困ったなぁ」という感じでしたが、私には師匠がいます。RX-7とRX-8でジムカーナチャンピオンを獲得していて今はマツダ車ではない車で連勝街道を歩んでいるオートバックスの川北さんです。困った事態になると色々相談しに行きます。今回もじっくり相談に乗ってもらい頭を整理する事が出来ました。

迎えた決勝第1ヒート、迷いに迷った車両セットはレボリューション製のブレード式スタビライザーの微調整を行い(無段階調整なので微調整が可能、困った時に非常に便利!)、ドライビングの修正と新しいタイヤを信じて落ち着いて走る事を心がけました。結果、少しのミスがあったもののまずまずの内容でトップタイム。2位は0.7秒遅差で上本、最大のライバルの西森選手はパイロンペナルティ、しかし2本目の逆転が得意なライバル達なので少しも気は抜けません。

第2ヒート、第1ヒートの修正を心がけ走行しましたが、全体的に走りのリズムが悪くタイムアップならず。しかし、ライバル勢もタイムを削ることができず、第1ヒートのタイムで逃げ切り優勝する事が出来ました。勝てて嬉しい反面、内容の悪さに反省する所多数、でも苦しんでの優勝は自信にもなってくれると思いますし、今後につながる1勝だと思います。やっと勝てましたが、まだまだライバルに対して遅れている状態です。そして第4戦の北海道ラウンドはN2クラスが台数不足で不成立となってしまいました。ようやく反撃開始の糸口が見つかったところなので残念ですが、第5戦からガンガン攻めて良い結果のレポートをお届けできるよう頑張りたいと思います。

<SA2クラス>
N2クラスと同じ車種で争われるSA2クラスもRX-7 vs NSXとなっていいます。因みに私のいるN2クラスとSA2クラスは車両の改造範囲が少し異なります。Nクラスは吸排気系が完全ノーマル、対しSAクラスは吸排気系の変更が可、そして少しの軽量化、ピロボールやエアロパーツの装着等が許されています。同じ車種、同じタイヤなので、コース攻略やセットアップなど日頃から交流も多く私としては要注目のクラスです。RX-7の上位陣は開幕戦岡山で優勝の山田、昨年の名阪で2位入賞と名阪が得意の葛西、青森県からの参戦している若手上野、ベテランの鰐部、対するNSXは前戦エビスで優勝の渡辺選手と、今シーズンチャンピオン候補筆頭で地元の久保選手との争いになりました。

第1ヒートトップに立ったのは、会心の走りを見せたNSXの久保選手、2番手にNSXの渡辺選手、RX-7勢は3番手以降に並び混戦の状態。第2ヒート、RX-7勢はタイムアップするものの上位2台に届かず3位葛西、4位上野、5位鰐部、6位山田の順となりました。RX-7最上位の3位表彰台の葛西は「まあまあの内容だったかな、前半フリーターンセクションはOKだけど、中盤のZコーナーでNSXに離されてしまった。北海道でリベンジしてくるよ!」。その葛西に0.1秒遅れの4番手に入った上野は今回が名阪スポーツランド初走行、今後の活躍が楽しみな若手のドライバーです。ベテランの鰐部、そして今回不本意な順位だった山田の復調が待たれます。
NSXに少し押されている感のあるこのクラスですが次戦以降のRX-7勢の巻き返しに期待したいところです。

<SCクラス>
今年からRX-7で参戦している藤井は前戦エビスでエンジンブローをさせてしまいましたが、きっちり車両を修理してきました。圧倒的に速い4WD勢に交じり8位入賞、2輪駆動勢では2番手のタイムでした。 「まだまだドライバーが乗れていないし、セットアップも改善しなくてはいけないところが沢山あります。次戦までに進化させて、北海道に臨みたいです」とのコメント。大きなサーキットコースと異なりジムカーナはアクセル全開の区間が短く、ブレーキを踏んでいる時間や、ハンドルを切っている時間が長い競技です。軽量でハイパワーな車両特有の難しい部分を抱えているような印象ですが、着実に進化しており今後の躍進が楽しみです。

<B2クラス>
併設クラスのB2にRX-7の内田がエントリーし見事に優勝を飾りました。金曜日の走行から好調でクレバーでスムーズなドライビングが際立っており、私も沢山勉強させてもらいました。是非全日本選手権クラスにエントリーしてきてほしいと思います。

名阪スポーツランドでの暑く、熱い戦いはあっという間に終わりました。次戦第5戦は6/18-19北海道の砂川スポーツランドです。個人的にはジムカーナコースの中で最も好きなコースですが(コーナリングが沢山あって楽しい!)、残念ながら私は不参加です。「とても悔しい!」

ロードスターとRX-7の砂川との相性も良いと思われ2車種の活躍が今から楽しみです。

Text by 小俣洋平
Photo by T.Yamaguchi

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