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  • 2018/09/13

「もの作りニッポン」の将来を支える全日本学生フォーミュラ

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9月4日から9日までの5日間、静岡県の小笠山運動公園にて自動車技術会主催の第16回全日本学生フォーミュラ大会が開催され、アジア諸国など海外からのエントリーを含め98の大学が参加しました。 MZRacingは、協賛企業として名を連ねている山口東京理科大学チームを訪ね、担当教授である元マツダエンジニアの貴島孝雄さんや学生リーダーの話を聞きました。同チームの競技会の結果は、92校中22位でした。

この競技会は、「ものづくりニッポン」の将来を担う工学系学生を育てるための試みで、学生自身が企画・設計・製造したフォーミュラスタイルのクルマを持ち寄り、静的・動的な審査を経て総合評価を得るものです。対象車の前提として1000台を量産する前提で開発費、一台当たりのコストを計算し、また運営費用を賄うためスポンサーを募るなど、しっかりしたて企画力があるかいなかを争う静的評価、完成した車両の安全性がチェックされ、さらに加速性能、制動性能、ハンドリング性能や耐久性能を図る動的評価によって、ランク付けがされて行きます。学校や担当教員はアドバイスすることは認められていますが、答えを教えてはいけないというルールもあります。このプロジェクトに積極的に取り組もうという学生が多い大学は、クルマはきちんと作られており、企画力もしっかりしています。同好会的な気分でクルマを作っていれば、当然評価は低くなります。学生達に模擬ビジネス経験をさせようというわけですから、きちんとそれを咀嚼して取り組めば社会に出た時に大いに役立つことは、間違いありません。

山口東京理科大学チームの担当教員である工学部機械工学科教授の貴島孝雄さんは、マツダではFD RX-7やNB、NCロードスターの開発主査を務めた元エンジニアです。貴島さんは、「うちのチームは、20数名が参加しており、そのうち1年生が10数名います。このプロジェクトを経験した学生がマツダに就職できたこともあり、山口東京理科大学では人気のプロジェクトです。とはいえ、授業ではありませんから、参加者は授業を終えてから私の研究室に集まり、それぞれが定めた領域でアイディアを出し、毎年クルマを形にして行きます。積極的な学生はこのプロジェクトに没頭し、夜遅くまで研究室に籠っていますが、もちろんアルバイトのため週に何回かした顔を出せない学生もいます。それでもなんとか自分たちが決めたスケジュールに従って開発作業を進め、今年もここにたどり着くことができました。学生達の自発的な企画でないといけないので、私は相談があれば話を聞きますが、判断して設計や実験に落とし込んでいくのは全部彼ら自身です」と話しています。

このチームのプロジェクトリーダーである機械工学科4年生の金城克二さんは、次のように話してくれました。「チーム内の役割分担は、大きく分けてカウル班、シャシー班、そしてパワートレイン班に分かれます。それぞれがアイディアをもちあい、互いに評価して設計し、部品を製作し、組み立てます。そのほか、スポンサー獲得を目指すマネジメント系を担当する学生もいます。僕は1年からこのプロジェクトに参加しており、元々はカウル班でカウルとシートなどを作っていました。これまでは形を作るのがやっとでした。僕の代で空力解析を取り入れようと思ったのですが時間が足らなく、そこまでは至りませんでした。でも流体力学を専門とする研究室に入れてもらい、解析のためのプログラムを作ってもらって、勉強しています。また全体のリーダーをやらせてもらっているので、大会までの全体のスケジュール管理を担当しました。設計の段階ではスケジュール通りだったのですが、僕が就職活動で抜けている間に製造計画がズルズルと伸び、それを修正しようとしたら設計変更が必要だったり、レギュレーション違反がみつかったりで、2ヶ月も遅れが出てしまいました。貴島先生は相談に乗ってくれますが、材質や設計についてではなく、必ず考え方を聞いてきます。それに応えると、さらに別の箇所の考え方を聞いてこられます。何度かやり取りをして納得できるようになるまで、その問答は続きます。いつも先生が言われるのは、”カタチを作っているのではなく、機能を作っているんだ”ということです。おかげで今年は静的要素に力を入れてきたので、デザイン評価は去年より低かったのですが、プレゼンでは倍のポイントが得られました。動的要素も順調に来ています。アクセラレーションではほぼ設計通りの数値がでました。でも、スキッドパッドではタイヤやエンジンの暖気の時間がなく、ちょっとポイントを落としてしまいましたが、練習では設計通りの値を記録しているのでクルマはよくできていることがわかっています。エンデュランス(20kmを二人交代で走り、タイムなどを競う)で巻き返しを図りたいと思います」。

全<プログラムを終えた山口東京理科大学の暫定順位は27位でしたが、最終的なランキングは22位と発表されました。前年が31位だったので、大きく前進したようです。この結果に対し、貴島教授から総括コメントをいただきました。

「チームの車両コンセプトは初代より引き継いだ、”リニア感のある操縦性”を掲げての開発を推進しました。リニアとはドライバーの意に忠実に反応するマシンのことで、アクセル操作、ブレーキ操作、ステアリング操作などに遅れや遊びがなく、また過剰な反応もない思い通りの操縦が出来ることです。そのためには基本性能である車両の低重心化、軽量化、フレーム剛性向上、ヨー慣性モーメント低減を狙った開発を行っています。学生が取り組んだ具体的な手段は、ホイールサイズを13インチから10インチに変更し、新たな軽量化項目としてホイールハブとアップライトをアルミ化、徹底的な無駄の排除、エンジン重心低減のためオイルパン高さの縮小、各部品の低位置レイアウト、フレームの各部剛性向上、などです。その結果、0~75mアクセラレーション0.083秒、オートクロス0.211秒、スキッドパッド0.074秒、エンデュランス63.523秒、それぞれの改善となり、総合順位は22位/92校中、また全種目完遂完走を果たしたため、部品工業会会長賞を受賞しました」。

山口東京理科大の学生達は、団体スポーツに取り組む大学チームを見ているようで、とても清々しいと感じました。また、多くの学生達が「ものづくりって楽しい」という顔を見せてくれました。取材していて、こちらもワクワクしました。

Text by MZRacing, Photos by Y. Aoyama and MZRacing

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